エンジンとシャシーを一新して2シーズン目、 2007年全日本選手権フォーミュラ・ニッポンの開幕が迫ってきた。 今年も一部有力選手の移籍や新人の参入など話題にことかかないが、 やはり昨年圧倒的な速さ強さを示したフランス人選手、 ブノワ・トレルイエ(mobilecast IMPUL)の勢いが今年も続くのか、 それを食い止める選手が現れるのかどうかが大きな見どころだ。
これまで鈴鹿サーキットと富士スピードウェイで行われた開幕前合同テストでは、 トレルイエが圧倒的な速さを見せ、その威力にはいっそう磨きがかかったように見える。 だが、頼もしいのは本山哲(Arabian Oasis IMPUL)がトレルイエに匹敵する走りを見せている点だ。 今季に向けて本山はサポート体制を強化、新スポンサーを迎えてマシンも鮮やかなブルーに切り替えた 。昨年1勝もできないままトレルイエに王座を明け渡してしまった本山にとって、今年は正念場である。
トレルイエ、本山だけでなく、トヨタエンジン勢の筆頭Team IMPULは快調だ。 松田次生(mobilecast IMPUL)は今年こそ王座をと、好ポジションにつけている。 新規加入のミハエル・クルム(Arabian Oasis IMPUL)は、 当初は「5年ぶりのトップフォーミュラなので序盤は苦労するかも」と自ら認めていたにもかかわらず、 合同テストの段階で早くも上位陣に食い込んで見せている。
一方、ホンダエンジン勢ではやはり昨年同様ARTA勢が速い。 昨年ARTAで活躍した小暮卓史(PIAA NAKAJIMA)は移籍したが、 替わってF1帰りの井出有治(ARTA)が加わり、金石年弘(ARTA)とともに速さを見せている。 昨年はシーズン途中からの参加になり苦戦を強いられたが、今年は手応えを感じている模様だ。
PIAA NAKAJIMAは昨年ニューマシンのセッティングに手間取り、いつになく苦しいシーズンを送ったが、 ロイック・デュバル(PIAA NAKAJIMA)はマシンにも慣れてテストでは好タイムを連発、 さらに小暮が古巣に戻るや昨年に引き続き突進し始めるなど、 今シーズンに向けての準備はできたと見ていいだろう。 ホンダは開幕戦のレースウィークに、合同テストでは使わなかった07年仕様のエンジンを投入するとも言われている。
その他にも長く苦戦を続けている高木虎之介(Team LeMans)がタイムを縮めていたり、 参戦1年目のDHG TOM'Sで優勝を飾ったアンドレ・ロッテラー(DHG TOM'S)がやはり好調のうちにテストを終えた点、 さらに新規参入するルーキーにも注目したいところである。
開幕戦が行われるのは、F1日本グランプリ開催の準備が進む富士スピードウェイ。 長い直線と高速コーナーで構成されたコース前半はダウンフォースを減らしてでもスピードを稼ぐセッティングが有効だ。 また最高速からブレーキングして入る第1コーナーはパッシングポイント。 高速走行と急減速の迫力を観客席からも体感できるセクションである。 また、コース後半は急な上り坂を小さなコーナーの組み合わせで駆け上るテクニカル区間で、 敏捷に姿勢と方向を変える、フォーミュラカーならではのフットワークを眺められる。
昨年鈴鹿サーキットで開催されたシリーズ最終戦では悪天候ということもあって、 無給油作戦を敢行したロッテラーが優勝を果たしたが、今年は無給油作戦は通用しそうもない。 今年から燃料の最大積載量が135リッターから122リッターに削減され、 給油なしに通常のレース距離を走り切ることは不可能になったからだ。 したがって開幕戦では給油ピットイン戦略も見どころのひとつになる。
長いシーズンがいよいよ始まる。開幕戦は1シーズン9戦の1戦でしかない。 しかし1年の方向性に大きな影響を与える大事な1戦でもある。 |